高額な買い物となる車では購入の補助としてマイカーローンの利用することは珍しくありませんが、その借入先にも複数の候補があるため、迷ってしまうかもしれません。
そんな中で、マイカーローンを事前に計算して、利息額や返済額を把握しておくと、借入先を選ぶ際の基準になるなど、無理のない返済計画を立てられるようになったりするものです。
本記事ではマイカーローンの特徴と、それに関わる金利や計算方法について紹介しています。
マイカーローンの利用を検討している方は、これからの内容を参考にしてみてください。
- マイカーローンは大きく分けて「銀行系マイカーローン」と「ディーラーローン」がある
- 基本的に銀行系マイカーローンの方が金利は低めの設定になっている
- ディーラーローンは銀行系マイカーローンと比較して審査に通りやすい傾向がある
- ディーラーローンには通常の分割返済の「フルローン」とローン終了時に車の返却等が選択できる「残価設定型ローン」がある
- 銀行系カードローンでは新車・中古車による違いはないが、ディーラーローンでは特に中古車販売店では、金利が高めの設定になることがある
- マイカーローンを取り扱う会社では、毎月一定の返済額になる「元利均等返済」か将来的な返済額の負担が軽くなる「元金均等返済」のいずれかが採用されやすい
- 金利は数%の差でも利息額や毎月の返済額に大きく違いが出てくる
- 返済期間は長いほど1回辺りの返済額の負担は少ないが、その分利息は増える
目次
マイカーローンを組む場合の借入先の候補
マイカーローンを組む場合、銀行や信用金庫がサービスの一つとして提供しているものと、自動車のディーラーや販売店が提供しているものの、2種類が主な候補となっています。
金利が低い「銀行系マイカーローン」と審査に通りやすい傾向がある「ディーラーローン」
マイカーローンを「銀行系マイカーローン」と「ディーラーローン」の2つに分けた時、主な違いとして出てくるのは以下の部分です。
銀行系マイカーローン | ディーラーローン | |
---|---|---|
金利 | 年1.0〜4.0%程度 | 年3.0〜1.0%程度 |
融資までの時間(審査を含む) | 1週間程度 | 30分~1時間程度(車の購入と同時) |
借入限度額 | 500万円〜1.000万円程度 | ー(購入した車種による) |
審査の基準 | 通常(ディーラーローンから見た基準) | マイカーローンよりも比較的緩い |
申し込みのタイミング | 随時 | 車の購入が決定した際 |
返済期間 | 10年程度 | 6・7年程度 |
返済までの車の所有権 | 購入者 | ディーラー・販売店(ローンの種類による) |
サービス等 | 住宅ローンなどが他のローンとセットで利用すると金利優遇される場合がある | 車の本体価格を値引きして貰える可能性がある |
参考サイト:
マイカーローンの計算に直接関わる金利については、銀行系マイカーローンの方が低めの設定になっており、返済期間の上限もディーラーローンより長めであることから、1回辺りの返却額の負担を減らせます。
また、会社によっては住宅ローンを始めとした他のローンと同時に利用していると、マイカーローンの方で金利優遇があるなど、銀行・信用金庫系ならではの強みがあるものです。
一方、ディーラーローンは基本的に、車の購入が決定した時から契約や借入が進んでいくもので、強みとしては銀行系では審査時間を含め、実際に融資されるまでやや時間がかかりますが、ディーラーローンであればその日のうちに融資されます。
更にディーラーや販売店と直接関わる過程で、購入する車本体の方が値引きされるなど、その車を取り扱う会社だからこそできるサービスを受けられることがあります。
通常の返済をしていく「フルローン」とローン終了時の選択肢がある「残価設定型ローン」
マイカーローンとしての種類は、銀行系マイカーローンとディーラーローンに分けられますが、ディーラーローンについては、そこから更に「フルローン」か「残価設定ローン」に細分化されます。
フルローンは車の購入額を全額借り入れした後、数年・数ヶ月間に分けて返済するというもので、内容としては銀行系マイカーローンを始めとした数多くのローンと同じものです。
一方、残価設定ローン(残価設定型クレジット・残価設定型プラン)は購入する車について数年後(借入期間)の下取り価格を残存価格(将来における車の価値)を予め設定しておき、購入額から残存価額を除いた額を返済していくというものです。
このローンで残価以外の返済が終了した時、対象となる車については主に以下の3つを選択できます。
- ディーラー・販売店に車を返却する
- 残価を一括で返済してそのまま車を買い取る
- 残価から再度ローンを組んだ後、分割で返済することで車を買い取る
残価が除かれることで、返済額の負担を減らせるだけでなく、ローン終了時に車を返却することで残価分は返済しなくても済むことから、一定の期間で新車へ乗り換えたい人にとってはお得なローンと言えます。
ただし、残価設定ローンは走行距離の制限などの一定の条件が付けられるもので、その条件に違反したり、ローン返済完了前に事故による破損・修理を行ったりしていると、残価の変動や追加費用の発生が起こることもある点は覚えておきましょう。
ディーラーローンでは新車と中古車で扱いに差が出てくることがある
銀行系マイカーローンについては、車を購入するための用途として事前に借入することから、基本的に新車・中古車によって金利が変化することはありません。
しかし、ディーラーローンにおいては、新車と中古車でサービスや金利に差が出てくることがあります。
大手の販売店におけるディーラーローンは、主に新車や人気のある車種へ適用されるもので、そもそも中古車では利用できない場合があります。
ただ、大手の販売店は関連グループ内で信販会社を有していることから、その信販会社と連携することで、金利を銀行系マイカーローンに近い設定まで引き下げられるため、購入できる車種が限られていても、メリットは感じられるでしょう。
一方、中古車販売を専門に行う店舗であると、大手の販売店のように信販会社と関連しているところはあまりないため、金利を下げづらい傾向があります。
もちろん、販売店の中には中古車についても良いサービスを提供していることもありますが、中古車の購入にマイカーローンを利用しようと考えている人は、扱いに差があることは覚えておきましょう。
マイカーローンにおける金利と利息・返済額の計算方法
銀行系マイカーローンとディーラーローンについてわかったところで、本題となるマイカーローンの計算方法について、採用される金利や返済方法と合わせながら確認していきます。
返済完遂まで変わらない「固定金利」と景気に影響される「変動金利」
マイカーローンにかかる金利は大きく分けて「固定金利」と「変動金利」の2種類があり、固定金利は最初に設定された金利が返済終了まで変わらない設定、変動金利は景気などが影響して金利が変化する可能性がある設定です。
一見すると、安定している固定金利の方が良いように見えますが、マイカーローンを提供する多くの会社では、変動金利の方が最初の金利が低めに設定されており、変動金利の方に人気があります。
理由としては、仮に金利が上昇したとしても多くの変動金利の返済額は5年間固定されていることから、返済期間によってあまり影響がないからです(5年間の固定を適用しないところもあります)。
ただし、6年以上でローンを組んでいる場合は影響を受けてしまうので、長期での返済を考えている人にとってはデメリットになる可能性も十分あります。
固定金利であれば金利が低くなる可能性はないものの、完全に固定されることから、全体的な返済額を把握しやすいメリットもあります。
固定金利と変動金利は、会社によっては片方しか採用していないことから、必ず選べるわけではありませんが、金利の違いも借入先を選ぶ基準として見ておきたい項目です。
基本となる利息額と返済額の求め方
マイカーローンを始めとするローンにおける利息額と返済額は基本的に以下の式で求められます。
- 利息額=借入金額×金利×返済年数
- 毎月の返済額=(借入金額+利息額)÷返済回数
例として借入金額が500万円、金利が3%、返済期間が5年かつボーナスが支給された時の増額返済がない(ボーナス返済なし)場合は以下のようになります。
- 利息額=5,000,000×0.03×5=750,000
- 1ヶ月あたりの返済額=(5,000,000 + 750,000)÷60(回)=95.833円
ただ、マイカーローンの場合、特に銀行系カードローンになると、返済方法として次で紹介する2つの方が採用される場合が多いため、こちらの計算式は借入金額・金利・返済期間がわかっていて、おおよその返済額が把握したい時に用いられるケースが多いです。
元利均等返済における利息額と返済額
元利均等返済は利息額と毎月の返済額を調整することで、一定の返済額に調整していく返済方法です。
一方で、次で紹介する元金均等返済と比べると最終的な利息額が多くなってしまうところがデメリットです。
そんな元利均等返済の計算方法は以下の通りです。
- 利息額=直前の借入金残高×金利(月利)
- 毎月の返済額=借入金額×月利×(1+月利)^返済回数÷(1+月利)^返済回数-1
- 元金返済額=毎月の返済額-利息額
これらの式に、先ほどと同じ条件の借入金額が500万円、金利が3%、返済期間が5年(ボーナス返済なし)を当てはめると1回目の返済では以下のようになります。
- 利息額=5,000,000×0,03/12=12,500円
- 毎月の返済額=5,000,000×0,03/12×(1+0,03/12)^60÷(1+0,03/12)^60-1=89,844円
- 元金返済額=89,844-12,500=77,344円
そして、2回目以降になると「直前の借入金残高」から元金返済額を引いた額と返済回数を変え、先の式に当てはめていくことになります。
1回目から3回目、60回目の各項目は以下の通りです。
返済回数 | 利息額 | 毎月返済額 | 元金返済額 | 借入金残高 |
---|---|---|---|---|
1回目 | 12,500円 | 89,844円 | 77,344円 | 4,922,656円 |
2回目 | 12,307円 | 89,844円 | 77,537円 | 4,845,119円 |
3回目 | 12,113円 | 89,844円 | 77,731円 | 4,767,388円 |
60回目 | 225円 | 89,844円 | 89,593円 | 0円 |
合計 | 390,614円 | 5,390,614円 | 5,000,000円 | ー |
※実際の元利均等返済を採用する会社で計算される値とは、異なることがあります。
元利均等返済は「毎月の返済額」を求める式が複雑であることから、計算が難しいのですが、マイカーローンを提供する会社では多くの場合で返済に関するシミュレーションが公式サイトに設置されているので、それらの活用によって簡単に導き出せます。
元金均等返済における利息額と返済額
元金均等返済は毎月の返済額における元金返済額を一定にして、その額と利息額を合わせて返済していく方法です。
返済開始時の返済額は、他の返済方法と比べて高めになるところはデメリットですが、返済が進むと少なくなっていくので、将来的な負担は軽くなるメリットがあります。
そんな元金均等返済の計算方法は以下の通りです。
- 利息額=直前の借入金残高×金利(月利)
- 元金返済額=借入金額÷返済回数
- 毎月の返済額=元金返済額+利息額
これらの式に借入金額が500万円、金利が3%、返済期間が5年(ボーナス返済なし)を当てはめると、1回目の返済では以下のようになります。
- 利息額=5,000,000÷0,03/12=12,500円
- 元金返済額=5,000,000÷60=83,333円
- 毎月の返済額=83,333+12,500=95,833円
そして、2回目以降になると元利均等返済と同じく「直前の借入金残高」から元金返済額を引いた額と返済回数を変えて先に式に当てはめていきます。
1回目から3回目、60回目の各項目は以下の通りです。
返済回数 | 利息額 | 元金返済額 | 毎月返済額 | 借入金残高 |
---|---|---|---|---|
1回目 | 12,500円 | 83,333円 | 95,833円 | 4,916,667円 |
2回目 | 12,292円 | 83,333円 | 95,625円 | 4,833,334円 |
3回目 | 12,084円 | 83,333円 | 95,417円 | 4,750,001円 |
60回目 | 209円 | 83,333円 | 83,562円 | 0円 |
合計 | 381,271円 | 5,000,000円 | 5,381,271円 | ー |
※実際の元金均等返済を採用する会社で計算される値とは異なることがあります。
こちらは計算式としては、元利均等返済よりも簡単ですが、元金均等返済についても返済方法として採用している会社では、公式サイトにシミュレーションがあるので、より正確な計算結果が見たい場合はそれらを利用してみましょう。
マイカーローンはどこを重視して選ぶべきか
利用額と返済額の計算方法がわかると、ある程度借入先を絞れるようになるものですが、それでも高い金額の借り入れになることから、候補を絞ることが難しいと感じてしまうかもしれません。
そんな人のために、マイカーローンの選び方として、どこを重視した方が良いかを紹介していきます。
金利の差は利息額と返済額に大きく影響する
マイカーローンで最も重視すべき部分は金利の設定であり、金利は少しでも利率が上がると、利息額や返済額が大きく変わってくるものです。
まずは元利均等返済について、借入金額が500万円かつ返済期間が5年(ボーナス返済なし)の場合で、4つの金利の利息額と1回目の毎月返済額を計算すると、以下のようになります。
金利 | 利息額 | 毎月返済額(1回目) |
---|---|---|
10% | 1,374,130円 | 106,236円 |
7% | 940,335円 | 99,006円 |
5% | 661,393円 | 94,357円 |
3% | 390,614円 | 89,844円 |
※実際の元利均等返済を採用する会社で計算される値とは異なることがあります。
元金均等返済についても借入金額が500万円かつ返済期間が5年(ボーナス返済なし)を条件にすると、以下のようになります。
金利 | 利息額 | 毎月返済額(1回目) |
---|---|---|
10% | 1,270,860円 | 125,000円 |
7% | 889,611円 | 112,500円 |
5% | 635,444円 | 104,167円 |
3% | 381,271円 | 95,833円 |
※実際の元金均等返済を採用する会社で計算される値とは、異なることがあります。
元金均等返済の場合も金利が2%上がるたびに約30万円の利息額が増えているため、どちらの返済方法でも、金利については妥協しない方が良いでしょう。
その点から考えると、金利が低めな銀行系マイカーローンの方が有用であるように見えますが、先に書いた通りディーラーローンでも大手の販売店の主力車であれば、金利が低くなる可能性もありえます。
返済期間は長ければ1回辺りの返済額の負担は減るが利息は増える
次に返済期間についてですが、基本的には銀行系マイカーローンの方が長めに設定されており、期間が長くなるほど1回辺りの返済額の負担は減ってくるものです。
しかし、返済期間が長引くと利息が発生する回数も増えるので、最終的に支払う返済額は多くなってしまいます。
そのため、ディーラーローンの返済期間が銀行系マイカーローンよりも短くなっていることが、必ずしもデメリットになるわけではないのです。
返済期間についても、利息額と返済額の計算に関わることから、候補を絞る際は返済期間の年数を変えながら比べていった方が、より無理のない返済設定が探せるでしょう。
銀行・信用金庫とディーラー・販売店で受けられるサービスは異なる
上記の条件で比較して、候補としているマイカーローンにそれほど差がない場合は、提供先を利用する上で受けられるサービスで決めることをおすすめします。
銀行・信用金庫では、先にも例として出した他のローンとの併用でローン全体の金利優遇されたり、マイカーローンの利用によって銀行・信用金庫内で使えるポイントが貯まって普段の引き落とし手数料を無料にしたりなどが可能です。
一方、ディーラー・販売店では、本体価格の値引き以外にも点検におけるパーツ交換や追加オプションの料金について、ローンを利用していることを加味した値段設定にしてくれることがあります。
二つの大きな違いは銀行・信用金庫は会社が提供する定められた範囲でのサービス提供ですが、ディーラー・販売店ではその店に来る客として独自にサービスして貰える可能性があるというところです。
反対に共通しているのは、利用頻度が高いほど、これらのサービスは優待の面でお得になる可能性が高くなる点です。
マイカーローンで利息額や返済額を計算しておくと返済期間の把握や借入先の候補を絞りやすくなる
マイカーローンは大きく分けて銀行系マイカーローンとディーラーローンがあり、金利については固定金利と変動金利、返済方法について元利均等返済か元金均等返済のどちらかが採用されることが多くなっています。
そして、それらの条件から計算式に当てはめたり、公式サイトのシミュレーションを利用したりなどにより、ある程度の利息額や返済額は事前に出せるもので、そこから返済期間の把握や条件に合った借入先が、よりスムーズに見つけられます。
自分に合った無理のない返済をするためにも、利息額や返済額の計算を上手に活用して、利用するマイカーローンを決定することをおすすめします。